働き方が多様化した時代に、“ビジネスを、しなやかに。”——Tシャツから始まる新スタンダード〈VELAR〉
働き方が多様化し、ビジネスウェアの常識も変わりつつある現代。スーツやジャケットスタイルは依然として重要でありながら、より快適で自分らしい装いを求める声が高まっている。そんな時代に応えるべく、「ビジネスを、しなやかに。」というコンセプトを掲げ、一枚のTシャツから新たなスタンダードを提案するD2Cブランド〈VELAR(ヴェラール)〉が誕生した。
なぜ今、Tシャツなのか。そこに込められた想いとは? 創業者であり代表取締役の奥田洋一氏に、ブランド立ち上げの背景から、妥協を知らない製品開発の裏側、そしてビジネスファッションの未来について、深く話を伺った。
photography _ Sara Hashimoto/interview&text _ Ado Ishino(E inc.)
きっかけは、ビジネスシーンに潜む「Tシャツの不在」
リモートワークが浸透し、オフィスカジュアルも自由度を増す中、奥田氏はビジネスシーンにおけるインナーウェア、特にTシャツの選択肢の少なさに課題を感じていた。ジャケットを羽織る機会は減らずとも、ネクタイを締める場面は確実に減っている。しかし、35歳から55歳のビジネスプロフェッショナルが求める、品格と快適性を両立する「ちょうどいい」インナーが市場に見当たらない。カジュアルすぎるTシャツではビジネスの場にふさわしくなく、かといって常にシャツでは堅苦しい。多くのビジネスパーソンが抱えるであろうこの悩みに、奥田氏自身も強く共感していた。
ーー〈VELAR〉というブランドを立ち上げたきっかけを教えてください。
「急速にカジュアル化するビジネスシーンで、洗練されたスタイルと実用性を兼ね備えたTシャツは希少でした。『年齢にふさわしい品格があり、派手すぎず清潔感のあるデザイン』『快適な着心地と手入れの簡単さ』『日々の着用に耐えうる機能性』。こうした市場の声を形にするため、VELARは生まれました。見栄えがして、ビジネスシーンでも着られるような、ピリッとしたTシャツ。カジュアルアイテムだからこそ、だらしなく見えず、それでいて心地いい、絶妙なバランスが必要なんです」
ビジネスマンを、もっとスマートに、もっと心地よく。その想いが、VELAR立ち上げの原動力となった。目指したのは、単なる衣服ではなく、着る人のマインドを整え、「第二の肌」のように寄り添い、パフォーマンスを高めるような「ビジネスウェア」としてのTシャツ。老舗的スタイルメーカーとの対話や、深夜に及ぶミーティングを重ね、開発は進められた。
コンセプト「ビジネスを、しなやかに。」が示す理想のプロ像
ーーブランドコンセプトの「ビジネスを、しなやかに。」についてはどのような思いが込められていますか?
「『しなやかさ』とは、単に柔らかいということではありません。変化に柔軟に対応できる力と、譲れない芯の強さ。その両立です。どんな状況にも自然に適応しながら、自分の軸を保つ。立ち居振る舞いや見た目の品格、清潔感、そして身に着けるものへのこだわり。服は、その人の人格や考え方を映し出すものだと思っています。だからこそ、VELARのTシャツを着ることで、自信を持って、自分らしく、凛として仕事に向き合える。そんなビジネスパーソンに、柔軟なエネルギーを提供したいんです」
VELARが目指すのは、見た目だけを取り繕うことではない。内面から湧き出る自信や知性が、洗練された装いと一体となることで生まれる、本物の「雰囲気」。それを纏うための、最高の脇役でありたい。そんな哲学がVELARの根底には流れている。
ーー〈VELAR〉という名前にはどのような思いが込められているのですか?
「イタリア語でベールを意味する『VELA』から着想を得ました。ベールを脱いでいくようなイメージで、新しいスタイルがデビューするという意味合いがあります。今後もさまざまなアイテムを展開していく中で、従来のビジネスウェアのイメージを少しずつ取り払い、新しいスタンダードを創造していきたいという思いも込めています」
妥協ゼロの探求が生んだ、4つの個性と至高の着心地
1. ホールガーメントモックネックTシャツ「WHOLE」—シームレスが生む、格別な一日
一着丸ごと立体的に編み上げる「ホールガーメント」技術を採用。脇などに縫い目がなく、身体へのストレスを極限まで軽減した、まさに第二の肌のような着心地を追求。素材には光沢感のある綿ポリ混紡糸を選び、イージーケア性も高めた。首元がドレッシーに見えるモックネックは、重要なプレゼンテーションや会議など、「ここぞ」という場面にふさわしい品格を演出する。
- 価格 19,800円(税込)
- カラー ホワイト、ミッドナイトネイビー
- サイズ M、L、LL



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2. リンキングTシャツ「LINKING」—Vゾーンに宿る、さりげない美学
Vゾーンにさりげないアクセントを加えるデザインが特徴。首元の縫製には、高級セーターや靴下のつま先部分を繋ぎ合わせるのに使われる「リンキング縫製」を採用。縫い代がないため肌あたりが非常に滑らかで、見た目もフラットで美しい仕上がりだ。毎日のビジネスシーンに洗練された印象を与え、一日を通して信頼感を得たい時に選びたい一枚。ベースとなる生地は、希少なオーガニック超長綿「アルティメイトピマ」を使用し、度詰め、双糸、プレーティングといった技術が凝縮されている。
- 価格 17,600円(税込)
- カラー ホワイト
- サイズ M、L、LL




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3. 襟高Tシャツ「ERIDAKA」—ジャケットスタイルを支える、信頼のベーシック
ジャケット着用時に襟元がすっきり美しく見えるよう、後ろ襟を高く設計。ジャケットとの相性を計算した絶妙な襟高デザインが、常に整った印象をサポートする。素材には希少なオーガニック超長綿「アルティメイトピマ」を採用。強度と美しい光沢感を両立する双糸で編み上げ、さらに度詰めによってしっかりとした生地感と型崩れしにくさを実現。肌側にはストレッチポリエステルをプレーティングし、快適な着心地と形態安定性も備える。ターゲット世代を考慮し、LとLLサイズには着丈を2cm短くした「0サイズ」を用意。体型に合わせた最適なフィット感を選べる点も魅力だ。
- 価格 11,000円(税込)
- カラー ホワイト、ミッドナイトネイビー
- サイズ S、M、L0、L1、LL0、LL1


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4. アイスコットンTシャツ「ICE COTTON」—酷暑を乗り切る、革新的快適性
夏のビジネスシーンをクールに、そして快適に過ごすために開発された一枚。触れた瞬間にひんやりと感じる接触冷感機能を持つスイス製の特殊なコットン「アイスコットン」を採用。これは糸に極めて強い撚りをかける「超強撚糸」技術によるもので、肌の熱を吸収しやすく、天然素材ながら高い冷感効果を発揮する。さらに肌側には持続冷感機能を持つポリエステル糸をプレーティングし、快適さが長続きするように設計。襟元には防汚加工を施し、汗による黄ばみを抑える。吸水速乾性と形態安定性も備え、まさに日本の夏に欠かせない機能が凝縮されている。
- 価格 13,200円(税込)
- カラー ホワイト
- サイズ S、M、L、LL


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日本の職人技が可能にした、世界に誇るクオリティ
VELARのTシャツは、すべて日本製。その背景には、奥田氏の日本のものづくりに対する深い敬意と信頼がある。
ーー製品開発で特に苦労したことはなんですか?
「生地づくりですね。すべてオリジナル生地を使用しています。どういう風合いの生地にしたいかをイメージし、実際の生地をつくるには時間がかかります。本来なら何年もかけて試作を繰り返して完成させるものなので、限られた時間の中で、自身の経験を総動員しながら、工場さんの協力のおかげで実現しました」
ーー日本の工場との協力についてはどのような点が重要だったんでしょうか?
「度詰めの生地にストレッチ糸をプレーティングしたり、繊細なリンキング縫製を施したり。こうした複雑で高い要求に応じられるのは、日本の工場だからこそです。長年培われてきた技術と経験、そして作り手の高い要求に応えようとするプライドがある。海外では『なぜそんな面倒なことを?』と言われかねないような細部へのこだわりを理解し、形にしてくれる。それがメイドインジャパンの価値であり、VELARの品質を支える根幹です」
奥田氏は生地の品質についても深く語る。
「同じ太さの糸でも、単糸(一本の糸)と双糸(複数の糸を撚り合わせたもの)があります。双糸のほうが見た目が綺麗で強度も増します。これは橋のワイヤーロープと同じで、細い鉄線を複数本撚り合わせると強くなる原理です」
「糸の表面はデコボコしているので、複数の糸を撚ることでその凹凸が均一化され、より滑らかな見た目になります。強さと見た目の美しさが両立されるんです。こうした細部へのこだわりは、一見すると理解しにくいかもしれませんが、長く着続けるうちに、その価値を実感していただけるはずです」
忙しいビジネスパーソンへ。「迷わない」という価値を
多忙な日々を送るビジネスパーソンにとって、毎朝の服選びは悩みの種でもある。VELARは、そんな彼らに「これを着ていれば間違いない」という安心感と信頼を提供したいと考えている。
ーー現在のビジネスパーソンの服装の悩みをどう分析されていますか?
「いろいろなものがありすぎて、どれを選んだら良いかわからない、どれがいいものかわからないという悩みが多いと思います。情報が溢れ、何を選べばいいかわからない時代だからこそ、本当に良いものを、わかりやすく伝えたい。VELARのTシャツは、決して安価ではありません。しかし、素材、技術、デザイン、すべてに理由があり、長く愛用できるだけの価値があると自負しています。一度着ていただければ、その違いを実感していただけるはず。色違いで揃えたり、同じものをリピートしたり。そんな『大人買い』したくなるような、信頼できる一枚でありたいですね」
ーーVELARのTシャツをどのように着こなすといいでしょうか?具体的なスタイリングアドバイスをいただけますか?
「ホールガーメントの白Tシャツならネイビーのジャケットに合わせるとドレッシーな印象になります。リンキングの白Tシャツはライトグレーのジャケットやコーラルのスラックスにも合いますね。白のリンキングTシャツは特にカッコよく、個人的に気に入っています」
「アイスコットンは夏場にデニムと合わせて、ジャケットを羽織ればオフの日でもきちんと感が出せます。足元は白いスニーカーで清涼感を出すといいですね。襟高Tシャツはジャケットとの相性を考慮したデザインなので、ビジネスシーンで特に活躍します」
「ミッドナイトネイビーのTシャツは、様々なジャケットやパンツとの相性がいいので、日々のコーディネートに迷わず取り入れやすい点も魅力です。『これを着ていれば間違いない』という安心感が大切だと考えています」


VELARが見据える、ビジネスファッションの未来と顧客との関係
Tシャツから始まったVELARの挑戦は、まだ序章に過ぎない。奥田氏は、今後、Tシャツのさらなる進化はもちろん、ソフトスーツなどアイテムラインナップを拡充し、トータルで「ビジネスをしなやかに」するスタイルを提案していきたいと語る。D2Cブランドとして、顧客との直接的な関係構築も重視していく。
ーアフターコロナ時代、ビジネスファッションはどう変化していくと思いますか?
「リモートワークで仕事のスタイルが多様化しているので、カジュアル化はどんどん進んでいくと思います。しかし、それは単なる『ラクな格好』であってはならない。カジュアルだからこそ、品格や清潔感、そして自分らしいこだわりが問われる時代になります。VELARは、そんな新しい時代のビジネススタイルを牽引する存在でありたい」
ーーVELARの今後についてはどうお考えですか?
「秋冬にこれに引き続くアイテムをまず出していきたいです。お客様の声に耳を傾けながら、常に期待を超えるような製品と体験を提供し、信頼されるブランドへ成長していきたい。最終的には、ビジネスカジュアルのトータル提案ができるブランドを目指したいですね」
ーーD2Cブランドとして、顧客との関係構築についてはどのようにお考えですか?
「直接お客様とつながることで、リアルな声をダイレクトに製品開発に活かせるのがD2Cの大きな強みです。VELARを着ていただく方々との対話を通じて、より良い製品を作り続けたい。そして、『VELARを着ていれば安心で好感度が上がる』と思っていただけるようなブランドに育てていきたいと考えています。特に35〜55歳のビジネスパーソンは、良いものを見つけたら長く愛用する傾向があります。そうした信頼関係を一枚のTシャツから築いていきたいですね」
ーーVELARに込めた思いを最後にお願いします。
「VELARを通じて、私たちはビジネスウェアの概念を変え、固定観念にとらわれず、真に働く人のためになる服とは何かを追求し続けます。そして、一人でも多くの方に、毎日を自信をもって生きる喜びを感じていただきたいと考えています」
服は、自身を表現し、自信を与えるツールとなりうる。 VELARのTシャツは、まさにそれを体現する一枚だ。袖を通した瞬間に感じる確かな品質と、鏡に映る凛とした佇まい、それはきっと、あなたのビジネスシーンを、より豊かで、しなやかなものに変えてくれるはずだ。
「ビジネスを、しなやかに。」VELARとともに、新しい時代の働き方とファッションを体感してみてはいかがだろうか。