「昨日は早めに寝たのに朝から体が重い」
「週末にゆっくり休んだはずなのになぜか疲れが取れない」
そんな経験はありませんか?
疲労回復には睡眠時間さえ確保すればいいと思いがちですが、実は「休んでいる=疲労が回復している」とは限りません。しっかり眠っているのに体がだるい、休日に何時間寝ても頭がすっきりしない……。その背景にはいくつかの要因があります。本記事では、なぜ休んでも疲れが取れないのかを科学的に解説し、改善につながるヒントをご紹介します。
1. 血の巡りが悪いと疲れが溜まりやすい

疲労回復には血液の循環が欠かせません。血液は酸素や栄養を運び、不要な老廃物を回収する役割を担っています。
しかし、長時間のデスクワークや立ち仕事で同じ姿勢を続けていると、筋肉が固まり、血の巡りが悪くなってしまいます。血流が悪いと乳酸や老廃物などの疲労物質が体内に溜まりやすくなり、いくら休んでも疲れが取れにくい状態になります。
また、冷えや運動不足も血行不良を引き起こす大きな原因です。体が冷えると血管が収縮して血流が悪くなり、疲れが慢性化してしまいます。
2. 睡眠は「量」ではなく「質」がポイント

「寝ても寝ても疲れが取れない」——そんな場合は、睡眠の質が低下している可能性があります。
人は寝ている間に「ノンレム睡眠(深い眠り)」と「レム睡眠(浅い眠り)」を繰り返しているのはよく知られた話です。深い眠りの時間帯に成長ホルモンが分泌され、体や脳が元気になります。しかし、スマホやパソコンのブルーライト、夕方以降のカフェイン摂取、不規則な生活リズムなどによって深い眠りが妨げられると、睡眠による回復効果がグンと減ってしまいます。
さらに、寝返りが打ちにくい寝具や体に合わない枕、マットレスを使っていると、同じ部位に負担がかかり続けて血行不良や寝苦しさを引き起こし、結果として、「寝たのに疲れが取れない」という状態につながってしまうのです。
3. 自律神経の乱れも慢性的な疲労を引き起こす

私たちの体は、自律神経(交感神経と副交感神経)の働きによってバランスを保っています。
- 昼間は「交感神経」が優位になり、活動モードに
- 夜は「副交感神経」が優位になり、休養モードに
この切り替えがスムーズに行われることで、しっかり休息が取れるのです。
しかし、仕事や人間関係のストレス、不規則な生活、過度なスマホ利用などで交感神経が優位なまま夜を迎えると、体は緊張状態が続きます。その結果、いくら寝ても回復しにくく「常に疲れている」という感覚に陥ってしまいます。
4. 忘れがちな「栄養不足や生活習慣の影響」

疲れやすさには、食生活も大きく関係していることをご存知でしょうか。主に以下の要素が疲労の蓄積に大きく関わってきます。
- ビタミンB群や鉄分が不足 → エネルギー代謝や酸素供給が低下し疲労感が増す
- タンパク質不足 → 筋肉や神経の修復が追いつかない
- 偏った食事や過度な飲酒 → 肝臓や消化器官に負担がかかり回復力が落ちる
また、運動不足や夜更かし、過度なカフェイン摂取など、生活習慣の乱れも疲れを残す要因です。
5. 疲労が取れない人に見直してほしい習慣

では、どうすれば「休んでも疲れが取れない状態」から抜け出せるのでしょうか?これまで述べたことと重複する部分もありますが、改めて振り返ってみましょう。
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血行を促す習慣を取り入れる
軽いストレッチやウォーキングなどで筋肉を動かし、血行を良くすることを心がけましょう。デスクワークの合間に立ち上がり、肩や脚を伸ばすだけでも効果的です。
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睡眠環境を整える
寝る前はスマホやPCを見るのを極力避け、照明を落とすことが睡眠ホルモンの分泌を助けます。体に合った寝具を選ぶことも、快適な眠りにつながります。
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自律神経を整える
深呼吸や入浴、ヨガ、瞑想などのリラックス習慣は、副交感神経を優位にして回復しやすい体をつくります。
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栄養バランスを意識する
ビタミン・ミネラル・タンパク質をバランス良く摂取することが、疲労回復につながります。特にビタミンB群(豚肉、卵、大豆製品)や鉄分(赤身肉、ほうれん草)はエネルギー代謝には欠かせません。
まとめ
疲労回復には「休み方の質」が大切です。
休んでも疲れが取れないのは、単に睡眠時間が不足しているからではありません。血行不良や睡眠の質の低下、自律神経の乱れ、栄養不足といった複数の要因が絡み合っている可能性があります。
大切なのは「量」より「質」です。
睡眠の環境を整え、血行を促進し、自律神経をリラックスモードに切り替えることが疲労回復の近道です。また、最近は着て寝るだけで疲労が回復する「リカバリーウェア」も注目を集めるようになってきました。血行を促進する素材を使ったり、寝返りを打ちやすくする形状にしたりと、各社趣向を凝らした寝巻きを開発しています。気になる方は、このような商品を試してみるのも1つの手ではないでしょうか。
睡眠の質は日中のパフォーマンスの低下を招き、深刻な病も引き起こしかねません。ただの「寝不足」だけでは終わらせられない切実な問題なのです。そうならないためにも、今日から生活習慣を少しずつ見直し、“本当に休める休養”を取り入れてみてはいかがでしょうか。